第5章 赤い腕章
ヒヒ達が射程範囲に入るまで引き寄せる。
ドドド ドドド
ドドド ドドド
もう少し
ドドド ドドド
ドドド ドドド
あと少し!
ドドド ドドドドドドドドド!!
最前列のヒヒがこちら目掛けて飛び上がった刹那
シュイン!
ブワン
大きく水平に弧を描くように振り払った
ドガガガガガがガガ!!
ギャイー!!
耳をつんざくような鳴き声をあげて威嚇したり悲鳴をあげている。
弱いヒヒは全体の8割ほど。
その殆どが地に伏した。
さぁ。残った子達、いらっしゃい。
シュザザザザザザシュ
ギギィィィィー!!
世界一を誇る瞬殺技を持つエデル兄弟と鍛練して身に付けた、切りつけた相手をバネに移動する技で次々にヒヒに斬りかかる。
さぁ、この子達のボスよ。
どこからでも来なさい。
キキーィ!
ミホーク様の黒刀を真似た大きな太刀を振りかざした、ほかのヒヒより一回り大きなヒヒが立ちはだかる。
ギャーギギギキキー!!
仲間が傷つけられたんだ。
敵対心、反抗心はかなりのものだろう。
ヒヒの視線からはわたしへの殺意がひしひしと伝わる。
課題クリアしたら、報告に行ってちゃんとそのあと手当てしてあげるから。
今だけはわたしをとことん殺す気でかかってきなさい。
ギィィィィィィイイヤァァアアアアア!!
ザン!!
わたしに向かってきたヒヒは無惨にも氷と化した血飛沫を傷に刺したように付着させたまま、ドサリと倒れた。
時間にして3分にも及ばず。
再度見聞色で、島全体を感じ、ヒヒの気配を探すも立ち動くヒヒはおらず、呼び笛をならして咲に飛び乗り来た道を帰った。