第5章 赤い腕章
採寸の準備と試着用のコルセット数着を持ってきたところで晒しだけの姿になった。
「確かにこれは締め付けすぎでございますね。
当店のコルセットは競技や兵士用のものでございます。
一番の特徴はしっかりと固定されていてもストレッチが利きまして呼吸しやすくなっているところでございます。
それに、デザインもそのままチューブトップとして着用できるので、各業界の女性戦闘師にご着用いただいております。
まずはこちらをご試着ください。」
晒しの代わりにあてがわれた布の上に紅色の生地に黒のレースが施されたコルセットをあてがう。
締め付け感はほとんどないのに、晒の比じゃない安定感。
肌触りも柔らかくて.......。
「デザインも、リドル様の御綺麗な黒髪に非常にお似合いでございます。」
「凄い.......。今まで何でこんなに素敵なもの探さなかったんだろうと思ってしまうほど。」
「お気に召しましたか?」
「はい。勿論でございます!」
「有難うございます」
そのほかにも3着ほど見繕ってもらって買うことにした。
早速購入した一枚の上に、白衣を纏って表へ出た。
店先に出ると、店主とミホーク様がお茶してたところで、何やら話し込んでいた。
わたしたちに気づくと、少し口元を緩め
「顔色がよくなった」
と仰った。
「今回は店を紹介しただけだ。女の一番肌に触れるものは初対面の男が買ってやるものではなかろう。」
言うのが遅いと思ったけど、勿論そのつもり。
「もちろん心得ています。素敵なところを教えていただいてありがとうございます。」
お金は高かろうが、わたしも、大商社の幹部であるとともに賞金稼ぎやってるようなもの。懐に余裕があるのは確か。
でも4着で20万ベリーは今日出すと思わなかったのも本音ではあった。
「リドル様。わたしどもはお客様のプライベートを守るのもお仕事でございます。
この町の店にご来店のお客様がマスコミ関係者からお守りするのが協定です。
どうか安心なさって、道中お気をつけてお帰りくださいまし。」
「本当にありがとうございました。」
深々と頭を下げた店主ご夫妻に見守られながら、店を後にした。
林道までの帰路、雑誌とか世間にさらされないのなら安心だと胸をなでおろしていた。