第5章 赤い腕章
数日かけた船旅も終わり本部に着くまでは、食事以外、それぞれの部屋に入ってくる者はいなかった。
ハンコックとユリは別室で部屋を出ることも出来なかった。
そして、
下船すると、警備の兵士が立ち並び、案内人の兵士が敬礼してガープを出迎えた。
「この二人を会議室へ頼んだぞ。」
「「はは!」」
促されるまま、案内人の後ろを歩く。
警備兵の隊列は立ち振舞いは凛々しくあるものの、溢れ出す下劣な下心のある視線が二人に集まったことに、ユリは内心眉を潜めた。
チラリとそちらに視線をやるも無言無表情でハンコックと共に会議室へと向かう。
しばらく続く長い廊下最奥から、近づく度にひしひしとただならぬ強者達の気配を感じる。
「今回の召集にはどれほど集まられたのですか?」
「あなた方を含め全員召集に応じている。」
「全員…」
今まで七武海の召集に応じたのは多くて2人といったところ。
一人空席があっても6名の強者が揃うことなど今までになかったことだ。
これは異例中の異例でハンコックさえも驚いた。
しばらくの間の後、もう一人の海兵が口を開く。
「リドル・ユリの評判は世界中で騒がれて、今や時の人。彼らにも興味を持たせるほどだ。
正直俺でも驚いている。」
「そうですか…。」
その返答には、面倒臭いことになったと呆れたため息も混ざっていた。
一方でハンコックは少し心配そうな眼差しを送っていた。
長い廊下を歩いてしばらくすると、
大きく重そうな会議室の扉の前に到着した。
中からおぞましいくらいの殺気と力が入り交じった気が放出されていて、奥にいるもの同士の強い敵意の凄ましさを感じた。