第5章 赤い腕章
「そして先程の質問ですが、わたしは七武海に勧誘はされましたが、商戦護衛協定に則って登録護衛員に申請しようと思っています。」
「そちらの方が良かろう。しかし、ユリは今や世界政府や海軍も喉から手が出る程欲しい戦力を持ち合わせている。
力添えは致すが妾の力だけでは事足りぬかもしれぬぞ?」
「お力添え戴ければ心強うございます。
それに今回はわたしのためにジンベエも召集に応じるとの事。
わたしの意向が通るようにお話しくださると申してくれています。」
もともとリュウグウ王国(魚人島)の国益のために七武海入りしていたジンベエ。
彼は、国王でもあるドフラミンゴを凌ぐほど会議への出席率が高く、七武海へ加入した動機も明確だったため、海軍から信頼がおける唯一の海賊だ。
ユリがレイリーと初めて会った時からの知り合いで、白髭海賊団が魚人島に来る際はタイヨウの海賊団も来ることが多く、そこによくユリの兄妹も会いに行っていたため素性もよく知っていた。
センゴク元帥にも七武海召集の話が出る前にユリの事をよく聞き出された。
ジンベエは機転を利かせてそれとなくユリが不利にならないように話をしてくれていた。
「そうか。ジンベエが味方についてくれるのならばどうにかなるのかもしれぬな。
それとユリのことじゃ。きっと事を上手く進められるであろうな。」
「それはどうでしょう?あちらにとっては所詮敵。
わたしはただ、あちらに微塵も荷担したくないのです。
脅しで屈するほどわたしも仲間も弱くはありません。」
ハンコックは、妹と慕うユリの幼い頃を重ね、その成長に眉尻を下げた。
コンコンとノック音が部屋に響き、戦士の声が聞こえた。
「入れ。」
「ははっ!蛇姫様!!お知らせでございます。
こちらから連絡を差し上げたわけでもないのですが、突如として、海軍中将 モンキー・D ・ガープの船が接近しております!!」
海軍中将…
その言葉に二人は顔を見合わせた。
「あいわかった。甲板へ出る。
こちらから、召集に応じると連絡すらしておらぬゆえ
念のためじゃ。厳戒体制で出迎えよ。」