第5章 赤い腕章
「久しぶりにお目にかかります。お元気そうで何よりでございます。」
「堅苦しい挨拶はよせ。そなたがここへ来るとは七武海の勧誘を受けるのか?」
「それは別のところでお話したいと存じます。
しかしハンコック様はなぜここへ?召集があっても全く応じないと聞きましたが......。」
「そなたがここへ現れれば召集に応じようと待っていた。
ここで立ち話も詰まらぬ。部屋へ案内しようぞ。」
海軍本部へ向かえと部下に指示を出すと颯爽と船内へ入っていくハンコックの後ろについていった。
通された部屋は応接室ではなくハンコックの部屋。
ユリは促されるままソファーに腰を下ろし、付人が茶を出して部屋を出ていった。
「久しいのう。もう何年になる?」
「もう10年近くになるでしょうか。ご立派にお美しくなられて、こうしてまたお会いできたこと嬉しく思います。父も母もさぞ喜ぶでしょう。」
そう。今から11年近く前フィッシャータイガーによる天竜人奴隷解放事件があった。
その際逃げてきた天竜人の奴隷であったハンコック三姉妹を我が家で匿い、レイリーとシャクヤクがハンコックが皇帝になるまでの数年間世話を焼いたのだ。
「そうか長いものじゃ。ユリ随分顔つきが変わったようじゃ。噂に聞く"海の女神"よう似ておる。」
「彼女と同じ能力の副作用でございます。白菊には昨年会いました。本日はマリーゴールド様とサンダーソニア様は?」
「妹たちは昨日見張りで今は休んでおる。ヨシタカとユキは変わりないか?」
「兄はシャンクスの船に乗り元気でおりますが、妹は革命軍に渡ってから消息がつかめません。
革命軍の方こちらから連絡することも受けることもできない状況で.....。」