第4章 力を持つ者の使命と宿命
エデルが自分の直接的な部下になるという話を思い出して改めてエデルを見た。
少し物静かで、表情とか分かりにくいタイプではあるけど、勉強熱心で好奇心が強く、疑問や思っていることを言ってくれるから仕事のパートナーとすればやりやすそうだ。
目の前で食事をする様はクロスはしないものの姿勢とテーブルマナーは自然と様になっていて、その所作が美しい。
白菊様が言ってたように貴族の末裔なんだろう。
多分彼らが事件に巻き込まれたのはおそらくワノ国の一件より少し前くらい。
「人の顔を百面相しながらの食事とはな。」
笑みを浮かべながらエデルが話しかけてきたので思わず肩が動いてしまった。
「あ、ごめんなさい。あまりに所作が完璧なのでつい.....。」
「白菊とやらが何か言ったのだろう?」
「ふぇ?」
あまりにも図星をつかれて変な声を出してしまった。
「詮索しないようにと言われたのにごめんなさい。
戦闘民族の貴族の末裔だと聞きました。
あと国も土地もないと.....。」
「あぁ。その通りだ。
国も土地もなければ立場など気にする問題でもない。
庶民のような暮らしでもそこに意味を見出だせれば辛いことも惨めに思うこともない。
私とミゼルはルケドニア王国の貴族の生まれだ。
ロジャーの処刑の翌年に海賊とグルになっていた海軍にバスターコールをかけられ生き長らえたのは庶民貴族問わず親によって内密に出国できた当時の子供だけだ。
私たち兄弟は当時7歳と4歳。瀕死で行き着いたのがこの船だった。」
ユリはエデルがここまで語るとは思いもせず困惑した。
そして、わたしが思っていたより壮絶な過去があったんだ。
でも、どうして話してくれたんだろう?
「どうして教えてくださるのです?」
「気まぐれだ。」
そういってまた食事を始めたエデルの表情は、話した内容とは異なる柔らかい表情をしていた。