第4章 力を持つ者の使命と宿命
船までを歩いていると、エデルが迎えに来た。
「遅いから心配した。」
と、私が手に持っていた記録書の紙の束を抱えて少し先を歩く。
突然の事で驚いたが、自然な流れだったので貴族ならではの礼儀としてレディーファースト的な普通のものだろうと解釈し素直に持ってもらうことにした。
「ごめんなさい。有り難うございます。」
「これはなんだ?年季が入ったものもあるようだが。」
まじまじと興味深そうにそれを見るエデル。
「わたしの能力のことを書いてあるようです。
口頭では教えて貰ったけど、もし解らないことがあればと戴きました。」
「例の体質の事もか?
実はユリがいない間に社長から連絡があって、ゆくゆくは副隊長としてユリのサポート役になり互いに秘書もつけるときいた。
今後のためにもその話を詳しく聞かせて貰いたい。」
まだそう日にちも経っていないのに、わたしを隊長にする前提で物事を進めるらしいボルさん。
でも、それはエデルを隊長候補から外した責任というか償いのようなものでそうしているんだと思う。
昇進欲求があるわけでなく、ただ仕事に誇りをもって
ボルさんを尊敬してこの仕事に就いている彼への配慮と、わたしに対する期待と良いプレッシャーを与えるつもりで言っていることだと思った。
「そうなのですね。解りました。明日はまた積み荷の集積やいろいろあるでしょうから、早速これからにしましょうか?」
「食事がまだだろう?準備はできている。話しはそれからでも良いが....。」
「有り難うございます。ではそのように。」
私たちが船にたどり着くとミゼル以外のみんなが出迎えてくれて何事もなくて良かったと言ってくれた。
食堂につくと、コックのビルさんが用意してくれた食事をいただいた。
なぜかエデルも目の前で食事を摂る。
「え?待っててくれてたのですか?」
「いいや。朝方のユリからの情報と知識を検証していたらこんな時間になっていた。
ルカからユリが帰ってきていないと聞かされて、様子を見に行くように頼まれた。
そんなに滅多に会えるような関係性ではないから遅くなるとは思っていたがこんなにとはな。」
朝方の話を聞くのも真剣だったこの人はかなり勤勉で努力家だったんだと思った。