第4章 力を持つ者の使命と宿命
気付けばもう夕食時を過ぎていて外は真っ暗。
「随分話し込んでしまったねぇ。でも、久々に楽しい一日でありんした。
大方命に関わるようなことは充分教えました。
もう聞くことはありんせんか?」
「はい。あとは、私自身が医者でもありますので自分で勉強して対処していきたいと存じます。」
すると、すっと立ち上がり奥の書斎のような部屋へと入っていった。
暫くすると分厚い紙束を戻ってきてそれをテーブルの上に置いた。
「わっちが纏めといた雪女の情報さ。わっちより4人前の代から書き足して作った資料のようなもの。
今度はユリの番さ。持っておくと良い。」
そういって辞書のような厚さの冊子を4部渡された。
古いものは劣化焼けしているものもある。
これまでの白蓮宗家の血筋がいかに次世代の子を大事にしてきたかを思い知らされた。
おそらく血筋が広がって直接遭う会えることが少なくなってきたと感じて作ったものだろう。
それだけ愛のこもった書物に思えた。
「有り難く使わせていただきます。
しかしながら、次の代はどうやって解るものなのでしょう?」
おそらく、私の見立てが正しければ、私がこれを次に渡すことはないのだろう。
それでも、そう思っていると感付かれないようにそういう質問をした。
「導きがあるはずさ。先代がそうでありんした。
わっちは時代を読む際に、ユリを見つけただけさ。」
「そうですか.....。」
「さぁ、王子のような仲間が心配して待っている。あれはおそらく戦闘民族の貴族の末裔。
彼は大丈夫さ。これでも世界中を旅してきんした。
わっちですら、彼らの情報は見えない。
可哀想に....。わっちが潜伏している間に滅ぼされちまって土地も残ってないのさ。
ただが政府の脅威となりうるというだけでね。」
『俺は海賊がこの地上で天竜人と同じくらい嫌いなんだよ。』
そう言ったミゼルの言葉を思いだし、彼らにもいろいろな過去があるのだと悟った。