第4章 力を持つ者の使命と宿命
「ちょうど最近白髭海賊団でもシャンクスたちにも教えていただきました。以後気を付けます。」
白菊は袖で口許を隠しながら楽しそうに笑った。
「ふふふ。本当に大事にして貰ってるのね。
性格もわっちよりうぶで可愛らしい。
シャンクスもマルコも、白髭も何も変わっちゃいないようだね。
そんな話しも聞けて嬉しい。」
白髭海賊団としか言ってないのに名前で言うところを見ると、やっぱり何があったか見えてるんだと思って恥ずかしくなった。
こんなに鮮明にか事か見える訳じゃないから考えなかったけど、人から過去を見られるって裸を見られる程恥ずかしいものも多いんだ。
まぁ、事はなかったにせよ.....。
「純情な生粋の侍の娘ってとこかい。そういう話しになってから目が金魚のように泳いでなさる。
ユリに比べたらわっちは真っ黒さね。
シャンクスとマルコが気に入るのもわかっちまう。
また会ったら仲良くおやりよ。」
白菊様は昔を思い出してか少し思いに更けた優しい声と眼差しで話した。
「で、話しは反れちまったが、
ユリの言う通り、死ぬ覚悟よりも生きる覚悟を持つ方がいかほど難しいか。
わっちら、戦いに生きる者は明日命があることさえ奇跡。
わっちがしてしまったことは半分は大事な人を裏切ったことにもなったが、もし、明日がなかったらという選択でここを選んだことは後悔はしていない。
これから時代が大きく変わり、うねりを帯びて世の中が動き出す。
かつてのわっちの船長が海の声に聞いたように。
命は落とさずとも、出会いや別れは付き物。
それはどんなに大事な人でも同じさ。
今日目の前にいる仲間と明日後悔せぬよう大事になさい。」
白菊様の仰る通り。
明日、自分の命があるか、大事な人を失うのかは誰にも解らないからこそ、今目の前にいる仲間を大事にしなきゃいけない。
今の選択に後悔はなくとも、それを選んだことで失ったものに対してもっと大事にすれば良かったと思うこともあるかもしれない。
目の前の当事者から言われるからこその重みがそこに感じられた。