第4章 力を持つ者の使命と宿命
『して、心が鍛練されたおなごに宿らせればこの忌まわしき魂の気は収まるでしょう。
ただし、この強力な力を持つからにはどうしても寿命という力が削られます。
それは、おなごが華として美しくある間。
50年の歳月すらないでしょう。
雪の降る土地に行くか、この魂の力を酷使したとき、雪女の魂に飲まれ凍死をするものもおりましょう。
それ以外には死のうにも失血死や心の臓を一突きされない限りは死ねぬのです。どんなに痛かろうと苦しかろうと出血は止まり傷は癒える。
それが代々、二十年に一人生まれるあなた様の血筋であるどなたかがわたしたち二人の魂を引き継ぐのです。
それでも、この魂を収める覚悟がおありでしょうか。白蓮頭主様。』
当時は100年生きるものもいることはいたが、40数年の命は普通の事だった。
そして寿命が尽きるまで死ねない苦しみもあるが、それは自分とその子孫がそのときに考えるものである。
「命が縮む位で国や主君が守られるなら本望でございます。
その魂を私の子孫が繋ぎましょう。
しかし、もし血が途絶えたとしたら......」
『再び雪女は下界に姿を表し人や国を襲うでしょう。
それは、この忌まわしき魂の中に私の魂の意思を残して雪女を宿したおなごを導き、然るべき者と巡り合わせ子を宿します。
故に心配は無用にございます。』
言わば、くの一で欠かせない戦闘は、妖力を得て格段に強くなるものの、常に死と隣り合わせで生きていなければならない。
そして、そのリスクを背負って生まれてくるのは20年に一度生まれるという白蓮宗家の頭主の血を引く子孫たち。
そしてこの頭主には既に20歳程歳の離れた娘がいた。
つまりは
『頭主様には既に7つになる娘がおりましょう。その娘も同じ運命になるのです。
そして、数百年先、私と同じくして最愛の者を亡くしたとき、貴殿方が見てきた雪女の魂が、怒りをもってそのおなごの体を使い具現化することがありましょう。
その現象が起きれば、そのときの感情を呼び起こして雪女を支配することが出来るものが現れたとき、この呪いは解け、雪女の魂は昇華を成し遂げます。
つまり、そのおなご以上に雪女の呪いは受け継がれないこととなります。』
そしてユキノが天に翳した手に黒い稲妻を伴う暗い紫色のオーラの球体が現れた。