第4章 力を持つ者の使命と宿命
そしてその3年後、花の都にて。
花の都では、流行り病が蔓延し次々に人が死んだ。
民思いであった将軍も、次期将軍を引き連れて偵察や支援に赴くも、運悪く病に倒れ将軍、正妻、正妻との間に生まれた子4人も次々に亡くなり、流行り病の終焉には、光月家では側室3人とその子孫の3人が生き残り内二人が駆け落ちして行方を眩ました朝太郎と、別の側室の男児弥助である。
予てより勉学が優れ聡明で謙虚。それにワノ国を知り尽くしていた朝太郎を探し出してでも次期将軍へという声が多く上がった。
その信頼のあつさに嫉妬に狂った弥助の母は盗賊と弥助側であった黒炭家を巻き込んで朝太郎の居場所を突き止め、殺害を命じたのだ。
その一ヶ月後、朝太郎とユキノは娘をサトと名付け3人で仲睦まじく暮らしていた。
「父様今日は遅いですね。」
台所で食器を片付けながら、木彫り人形で遊ぶサトに声をかけた。
朝太郎は今朝出ていったまま日の入り前には必ず帰ってきていたのだが、日がどっぷり暮れた夜になっても帰ってこない。
ただ、探しに行こうにも吹雪が酷く外に出ることはできなかった。
その日は心配ながらもようやく乳離れした子供を連れて行くことも残していくこともできず、諦めて眠ることにした。
しかし明くる日も吹雪、そのつぎの日にやっと風が止んだので、ユキノはサトをおぶって着込み朝太郎を探すために下山した。
仕事に出る場所もルートも把握していたためその道を降りていくと、戦った痕跡を見つけた。
ユキノは突如に背筋が凍り、一心不乱に戦いの痕跡のある範囲の雪を木の板などで掘り起こした。
「朝太郎さん!?朝太郎さん!?」
呼び掛けても呼び掛けても返事がない。
そして、次の場所を掘り起こそうとしたとき、地面でも雪でもないものを踏みつけた。
慌ててそこを掘り起こすと、雪と血にまみれた変わり果てた姿の朝太郎の姿。
ユキノは全身を震い上がらせるほど泣いた泣きわめいた。
戦いの痕跡がある以上侍であり、朝太郎の命を狙ったのは明白。しかし誰がやったのかと尋ねることもできない。
でも、人生の糧だった夫の無惨な死を目の当たりにして全てが崩壊したような気持ちになったのだ。