第4章 力を持つ者の使命と宿命
白菊様とカタクリの船まで来ると威圧がピリピリと肌に伝わる。
おそらくカタクリによるものだろう。
白菊様は何食わぬ顔で船に掛かる橋を歩き、その後ろに続いて足を踏み入れる。
船に乗ると視線がこちらに一気に集まり痛いほどだ。
最奥の中央の部屋のドア前で壁に持たれるように背中を預けた父さんにも負けない巨体な男。
ただでさえ巨体な男より、まだ長い三叉に別れた槍を肩にかけ腕組をして、こちらをじっと睨むように見ている。
彼こそが紛れもなくビッグマム海賊団のNo.2である4将星の筆頭シャーロット・カタクリだ。
思えば敵船に乗り込むのは初めてだ。
彼らの事を気にする素振りは見せない方がいい。
私はディルバリーの旗と同時に四皇の旗を二つも背負ってる。
舐められることは絶対避けよう。
「この子はわっちの客人でありんす。失礼な態度は控えよ!」
「失礼いたしました!!」
カタクリ以外のクルーがまるでレッドカーペットを敷いているかの如く、綺麗な直線で並び、敬礼をする。
赤髪海賊団、白髭海賊団とは違う。
彼らは子弟関係で仲間や兄弟という感覚だが、ここの人たちは仕従関係といったところ。
しかし、ロジャーと父さんの船にいた人だけあって、部下たちは全員が白菊様を敬愛していることを彼らの雰囲気から悟った。
白菊様が急に立ち止まりこちらを見ると耳元まで腰を屈め 手を添えた。
「旦那はあんたを見極め、試しているだけさ。親父さんが認めた娘ならば大丈夫。」
「お気遣い、有り難く存じます。私はいかなる状況も受け入れる所存でございます。」
恐れのない表情で白菊様を見れば、それでこそ同類の魂を持った同志でありんす。とまた前を向いて歩み始めた。