第4章 力を持つ者の使命と宿命
ここに来て二日後。
船は無事に着いて取引のためにミゼルさんを護衛につけリアン船長と営業の二人を連れて、他は食料や物資の調達へ。
船に残ったのはこの船の最高戦力であるエデルさんと私。
あれからは、ここにカタクリが異例の艦隊を引き連れてやってくる理由を"推測である"と伝えた上で彼らにも話した。
だからこそ船に私が残った方がハッキリするし被害も少ないという予測でここにいる。
エデルさんはもし憶測が外れて戦うことを想定してここにいる。
それに、船医の部門でもトップになるからには彼の医者としてのレベルも見なければならないと医務室を見学することにした。
海賊被害は想定してて外科の分野ではそこそこ高い知識と経験があるようで、設備もそれなりに充実している。
唯一心配なのは毒の知識。
最近は合成の科学薬品で作られた新たな毒も海賊に出回ってきているが、その情報と解毒法や薬を置いていないということ。
速効性があるものがあるからこそ船に少量は必ず常備されていなければ心配だからと、マルコですら入手していた。
弟はハッカーみたいなことが出来るんなら情報はなんとかなりそうだ。
あとの解毒法と薬は私が教えるとして、どこで薬を手に入るかを一緒に模索しなければいけない。
海賊と違って裏ルートで入手を使わなくてもいいところ。
海軍が承認しているところでもやはり権力がモノを言わせているところがあったので信頼のできる薬の問屋を聞いてみた。
「モッキンバード製薬所とは、ディルバリーと長い付き合いだが、この前内部告発があって次を探している最中だ。
タマ製薬所を今のところ検討中ではあるようだ。」
「じゃぁ、そこで探すのと、あと少なくても2社は取引があった方が安全ですね。
どこで何があるか解りませんので。」
「あぁ。そうだな。近くでも問屋を探した方が良さそうだ。」
すんなりと私の意見を取り入れようとするこの人は、経歴や年齢でもなく、理論や知識において色眼鏡で見て拒絶するような人ではないし、質問もすれば提案もしてくれる。
しかも、もう私の事を上司として見てくれていることに身の引き締まる思いだ。