第4章 力を持つ者の使命と宿命
新世界のリックマウンテン島への航路をなぞるように飛行する咲の上で初任務の船を見つける。
"Dirverly company new world subdivision"
「咲。あの船よ。」
緩やかに下降して船の回りを旋回して女の人が居るのを見つけると船縁に立ち仮面をとった。
私に気づいて立ち止まった女の人は30代前後くらいのグレーのショートボブで赤ぶち眼鏡をかけた綺麗目な人。
眼鏡の縁を持ち上げて私をじっと見た。
見下ろすのは良くないと思い直し船に乗り込む。
「私は先日より貴社の護衛を仰せ預かりましたリドル・ユリでございます。
ボル社長の指示でこちらに参りました。
船長に御目通り願います。」
名乗ると、少し表情が緩み姿勢を正した。
「貴方がユリさんね。船長がお待ちかねよ。
私はこの船の航海士アマンド・ルカ。ルカって呼んでね。
じゃぁ、ついてきて。案内するわ。」
数歩前をを歩くルカさんについていって船長室へ向かった。
「ここが船長室よ。後で船内を案内するから呼んでね?」
「リアン船長、ユリさんがいらっしゃいました。」
そう言って船長室に入れてくれた後ルカさんは私ににっこり笑いかけてドアを閉めた。
「早速来てもらって助かるよ。私が、この船の責任者兼新世界本部長のウィル・リアンだ。
この船には10人乗っている。ビッグマム海賊団の危機が去ったら次の移動の指令があるまでゆっくりしていくと良い。」
初老くらいの坊主頭に黒いキャップ。その容姿は逞しく優しい漁師さんという印象だった。
商戦の護衛として新参者の私は、海賊大名の側近の血を引き大海賊に育てられた生粋の海賊。
名実ともに海賊の子である私を偏見の目で見ない人だと思うと安心した。
「はい!有り難うございます。
今、ビッグマム海賊団側の動きはどういった状況でしょうか?」
「この船はもうまもなくリックマウンテンの経済水域に入るが、相手側も別の方角から同じ港を目指して進んでいるようだ。
護衛の件は最終判断は君の指示に従うようにするよ。
ボル社長が選んだ人で、大海賊の娘でお兄さんも強いんだろ?なんせ、先日の戦闘も見事だったらしいからな。
よろしく頼むよ。」