第3章 覚醒をはじめた証
そして、父さんが拳をを差し出し私の前で開いて見せた。
「これって、もしかして.......。」
父さんが見せたものはパールの装飾品。
昔トリコーン(海賊帽)に飾ってたものと同じものだとわかった。
「息子達が祝儀やってて親がやらんわけにはいかねぇだろう。
俺がワノ国に来た頃に被っていたトリコーンに飾ってたやつだ。
ペンダントにでも好きなように纏え。」
「こんな大事なものを.......。」
「つけなきゃ、持ってても意味がねェ。親が一度出したもんは素直にもらえ。」
またまた溢れだした涙が止まらずに、その場でペンダントのように巻くと
「泣き虫娘。良く似合ってらァ。グララララララ。
笛でも聞かせろ。
そのために来たんだろ?」
と言って船首を指差した。
「ありがとう.....父さん。今日は祖国と亡き父母、侍達の魂、そして父さんのために吹きます。」
白鯨の船首に立ち、涙を拭い笛をとった。
朝焼けが空を青く染めはじめた空に
朝凪に冷たく吹き抜ける風に
魂の音色に感謝の想いを乗せて
小鳥のさえずりのように澄みきった音色がモビーディック号を包むように響き渡った。
その音色は白髭だけでなく、兄弟の耳にも心にも届いていたことはいうまでもない。