第3章 覚醒をはじめた証
マルコが突如、白菊様の話を始めて急だったので話に頭がついていけなかった。
内容もそうで、彼女が私がこの船に乗船することになることも予言してたという。
その彼女が私に会いに来るかもしれないと聞いていよいよ頭がついていかず一瞬フリーズしてしまった。
でも、白菊様に聞ける機会があるのならいろいろ知りたいことがある。
それは
"雪女"の妖力についてと副反応、それに対する処置
そして今父さんの事をどう思っているか
今白菊様は幸せなのか
大きく分けたらこの3つだ。
白菊様への言伝てとか聞いておこうと思ったけど、もう十数年前のことだ。
今さらそれを聞いてもまだ引きづってると思われるのも嫌だろうと思って何も言わないことにした。
女を売ってるところにも行くだろうけど、本当に大事にしたい人がいれば途端に弱くなってしまうんだろうか?
マルコの感情に少しだけ暗い影があるようにも感じた。
兄としてだけど、歳なんか感じたことないくらいカッコいいのにと思ってしまう。
でも、相手を想うがゆえ弱くなる優しいマルコもいいと思う。
でも、今は男女のお付き合いはしたいわけじゃない。
私はまだ強くなりたい。
「あ、この間のペンダントできたよい。
着物じゃ映えんかもしれんが、着けてやっていいかぃ?」
「え、....あ、はい。」
ごめんなさい。
あまりにもこの一週間が濃密すぎて
完璧に忘れてた。
それを言われた途端、前にシャンクスがうなじ辺りで口を使いながらアレを付けられたのを思い出して思わず真っ赤になってしまった。
同時に羞恥のせいで畏まった口調になったけど
変に思ったよね?
マルコは一瞬手が止まったけど、何にも聞かないで手を動かし始める。
首に触れた手が思ったより暖かくて思わず肩を揺らした。
慣れたようにペンダントをつけてくれたマルコは、また私の前に戻ると、
「やっぱりそりゃぁ普段着ようだねぃ。
ユリのトレードマークの白衣には絶対合うと思うよい!」
とマルコらしい優しい笑顔で笑った。