第3章 覚醒をはじめた証
「何黙ってんだよい。折角の散歩だろうがぃ。」
不死鳥の姿では表情は解らないけど何か笑ってる。
「マルコもやっぱり大きいね。」
「何が?」
「人間が。」
「じゃねぇと、実質のNO.2は務まらねぇよい。しかも、"も"っつったろ?赤髪と比べられんのはごめん被るぞぃ。」
「うん。バレた?」
他愛もない話。
ククっと小さく笑ってくれた。
「私もみんなを見習って頑張らなきゃ。」
「ユリはもともとそういう性質は持ってるよぃ。
肩肘張らずにユリはユリらしくいればいいよい。
なんせ、俺たちの妹で生涯でたった一人の俺の弟子だぃ。出来ねぇわけがねぇ。」
数日前にもサッチ兄さんに似たようなこと言われたっけ?
みんながそう思ってくれて嬉しい。
ビスタもハルタも私のために手合わせをしないかと声をかけてくれた。
「でも、悩むことがあれば一人で抱えるなよい。
お前は、人が悩んでたらすぐ解っちまうけど俺たちはそれほど敏感じゃねぇ。
俺だけじゃなくみんながユリに笑顔でいてほしいって思ってるよい。」
「ありがとう。」
人の気持ちが解ってしまう分、なるべく自分をさらけ出すようにしてるけど、正直言えないことも、言わないと決めたこともある。
まぁ、ある意味気兼ねなくどんなことでも言えるのは私に対して恋心も下心も抱いていないイゾウだったりもするけど.....。
でも、今悩んだりすることは特にない。
こんなにみんなに愛されているのに何を悩めというのだろうというくらい。
でも、そんなことを言ってくれるのは嬉しかった。
森の奥の川の方にむかって下降し始めたマルコに少しだけ回した腕に力を入れた。