第3章 覚醒をはじめた証
「体が違うでしょ?ハンコックに言われたら直すかもしれないけど。
男の人は身軽で羨ましいくらいね。
どう?大きかった?」
イタズラに色っぽく笑って見せるとずいっと耳元に口を寄せられて、妖しく笑みを浮かべ
低く官能的な声色で
「あぁ。ヤバすぎて食っちまうところだったよい。
大人からかうのも大概にしろよい。」
と言い捨てて去っていった。
呆然と立ったままのユリの顔は赤く、ポカンと口は開いたまま。
10代後半のガキんちょが30代後半のオトナ相手じゃ、色気の破壊力で勝てるわけがないと思い知ったのだった。
気を取り直して部屋に戻り一通りの用を済ませ食堂へ行くとハルタを捕まえて、ビスタとの間で食事を摂った。
「よかった。すっかり元気みたいだな。しかしどうした?」
「アハハハハハ.....今日も一緒に食べさせてくださーい!!」
「マルコにイタズラされたぁ?」
言い当てられて思わず固まると、その反応を見たハルタとビスタはケラケラと笑いはじめユリはその間で小さくなっていた。
「なぁんだ!マルコ隊長も隅に置けないね。」
「ハハハ。まぁ、オッサン過ぎるからやめとけ。
ユリには、同じ年頃の賑やかなのが合うさ。
侍気質なのは解ってるが、若いんだから色恋の一つくらいしろよ。」
「ビスタ、やっぱりお父さんみたい。」
「そうか?お前みたいな娘がいたら心配で堪らんな。
男連れてきたら殴り殺しやしないか心配だ。」
「それって私が心配することじゃない?」
「それはそうだ。」
声を上げて楽しそうに笑い食事を摂る3人の後ろ姿を見て、今日も白髭海賊団の和やかな朝を感じる兄弟たちであった。