第3章 覚醒をはじめた証
無人島が視界に入ると、3人が見えた。
同時に焦った様子で立ち止まって何やら話をしているところを見ると異変に気づいたというところだと確信した。
スピードを上げてユリに近づくと崩れ落ちるように膝を折って前に倒れ始めた。
遅かったかよい。
ユリが倒れこむ下の地面に手を伸ばして滑り込ませ寸のところで体を受け止めた。
体がもう冷たい。
こんなになるまで予兆みたいなのがあっただろ
自分を責める事と、こういう事態になった事に対して信頼していた二人に俺は腹をたてた。
「てめぇら、二人もいながら何してんだよい!!」
急いでユリを背に乗せて落とさないように気を付けながら再び空へ飛んだ。
背に乗った冷えきった体は自分の背中を凍らそうとするかのようにピシピシと音を立てていた。
息をしているのがわかるが浅い。
必然的に再生の炎がユリに当たってか、モビーが見えた頃、背中で動いたのがわかった。
「ま、マルコ!?な、なんで.......。」
「悪かったよい。俺が程ほどにしろって言ってなかったからな。この前見せた"アレ"に入ってろ。
まだ体が冷たいよい。」
「うん。
マルコ、.......ありがとう。」
弱々しい声で言葉を紡ぎながら、状況的に必然的に腕を回してきたユリは項垂れるように体を預けてきた。
視線を横にずらせば白菊の顔にユリらしい表情を浮かべて目を閉じている。
その様子を見て少しだけ冷静になれた。
年甲斐もなく、こんな歳が離れた女の事に取り乱していたなんてな。
ビスタもハルタも呆れたろ。
言い過ぎたから後で謝んねぇとな。
モビーに戻るとイゾウと医療班の連中が顔を青くして背中に乗ってるユリを見た。
降ろすとナースと共に医務室へ行った。
アイツの残り香がイゾウのものとは違う和を感じさせるような上品で優しい甘さが服に残った。