第3章 覚醒をはじめた証
辿り着いた島は一帯が草原で覆われ、戦いの後が残っている。
「ここは、ハンドアイランドに来たときの俺たちの闘技場みたいなもんさ。
ここらに多く生えてる草は水分が多く含まれていて踏めば茎から液体が出る。
滑りやすいから気を付けてね。」
ハルタからの説明を聞いてこの土地というものを把握する。
ここは足場が悪いところらしい。
真剣勝負で咲はいない中、二刀流3人でのバトルロワイアル。
武器は刀と覇気のみ。
3人の闘志がぶつかり合った時威風圧で草が一気に揺れなびく。
互いに双剣を構えて睨み合い、
息を合わせるかの如く一気に駆け寄った。
ギーンとけたたましい音と共にブワッっと放射状に風圧が散った。
「ユリ、ただ医学の勉強をして来ただけじゃないんだな。」
白い歯を見せるビスタはやはり最初の一撃では何て事はないらしい。
余裕があるのは勿論ハルタも同じで
「"雪女"の力が目覚めてきたんでしょ?早く見たいな!」
楽しそうに口角を上げている。
私からはマルコとイゾウ以外に言っていない。
父さんに聞いたのだろうか?
「父さんから聞いたの?」
「勿論さ。隊長クラスと医療班はユリちゃんがいない間に教えて貰ったんだよ。
で、覚醒してきた力の調子は?」
「また威力が上がったみたい。一撃目のつもりの力がいつもより軽いみたい。」
そう言って思いきり二人の剣をはじき飛ばした。
「ほぅ。楽しみだな。」
「すぐになら、これは見せれるかも。」
そう言って両足で大地を踏み締め、力の全てを放出するイメージで刀を双方へ振りほどいた。
覇王色の覇気を冷風圧を伴いながら、大地がビシビシビシと音を立てて二人の足元を氷が這う。
それに気づいた二人は覇気に耐えながらも避け着地。
「驚いた。本当に白菊のようだ。まだ威力は小さいがな。」
「それは、自覚症状が出だしたのはつい先日だからね。
覚醒反応が終わった時、どこまで強くなってるかわからないの。
楽しみすぎてワクワクしちゃう。」