第1章 幼い士族が抱く使命ー序章ー
次の朝、皆が食事を終えた頃3兄妹と隊長達、医療班が船長室に集った。
次の瞬間一同が一斉に息を飲む。
白髭が短剣で自らの腕を裂いたのだ。
「親父!!!!」
「何てことを!!!!」
その場にいたものがざわつく。
「ユリ、これを治してみろ。」
白髭は短剣で切った傷がある左腕を見せる。
「何させる気だ?親父!」
「どういうことですか?」
傷を気にする何も知らない者が問い詰める。
ユリも、なぜそのようなことをするのか理解できず、どうようしている。
そんなユリをじっと見て
「お前のことを知ってもらって守るためだ。やってみろ。」
と言った。
はいと返事をし、一歩一歩白髭に近づく。
彼女の小さな手が、腕の傷つけた部分を優しく囲い、じーっと見つめる。すると瞳はエメラルドグリーンになり渦を巻き始めた。
やがて光が傷口を淡い光が覆い、みるみる傷が小さくなる。
「なんだこれは? 治癒の能力か?」
「悪魔の実か!すげぇ!」
始めてみたものはザワザワと騒ぎ立てる。
「ここれで察しがついただろうが、話はユリの能力だ。
昨日、ユキが怪我をしたとき、こいつぁさっきみたいに瞳の色を変えて光を放ち、ユキの怪我を綺麗に治した。
これは、どうやら悪魔の実でも種族の血とも全く関係がねェらしい。
コイツは極めて異例だ。
見つかれば政府に追われるだろう。人体実験のモルモットにするためにな。」
ヨシタカとナースたちはゴクリと唾を飲む。ユリはまだよく解っていないのか首をかしげ、隊長達は続きを待っている。
「だが、能力を使うなと言ってもユリも困ってる奴がいたら助けちまうだろう。
だから、条件を出そうと思う。
まずは1つ目だ。治療は医務室。または絶対に人に見られねぇ所でしろ。
2つ目、ここにいる者、そしてレイリー、シャッキー以外を治療する時ゃ、意識を失っている前提でやれ。
この二つは最低でも一人立ちするまでは守り通せ。
最後には、大人になっても信用できて口の固い奴以外に無闇に使うな。
監視役はここにいる者に任せる。
治療する時はここにいる誰かがつけ。
この力はまだまだ無知すぎる。
危険が伴うこともあるやもしれん。
全員口外するな。」
殺気だった低い声が船長室に響いた。