第3章 覚醒をはじめた証
「ありがとう。
私いろいろ特殊なところがあるから他の回りの人からは気味悪がられたり、扱いが酷かったりすることもあるかもしれない。
でも、そういう人がいても迷わず自分を貫くわ。
兄さん達が心の後ろ楯ってだけでもう何にも怖いものはないの。」
特殊だと思うのは戦争や紛争を予測する力と他人の心を目を見て感じること。
そして治癒の力を持ち、式紙を扱い、妖力を持つ(悪魔の実の)無能力者であること。
それを大多数の一般人は怖がるかもしれなかったけど、チートだとか羨ましいって言われて育ったのは頂点に立つ海賊団にいるからこそ。
そして、それを人を生かすために使える術を教えてくれた。
「また随分と頼もしくなったな。」
ビスタの空いたグラスに新たなワインを注ぐと、歯が見えるくらいに微笑んだ。
「皆が小さい頃から見返りない愛をくれたからよ。
天竜人や世界中の貴族王族、どんな金持ちのところで育てられるより、白髭海賊団、赤髪海賊団、父様、母様に育てて貰えて良かったと思ってる。」
「随分嬉しいことを言いなさる。今夜の酒は人生で一番旨いやもしれんな。」
「ホントに?ビスタはいつもそう言うじゃない。」
「ハハハ。そうか?おそらくユリの成長が毎回嬉しいからだろうな。」
そういうビスタは機嫌よくほろ酔い状態なのか、表情が柔らかで、いつも渋くて紳士的名イメージが優しいお父さんのような感じがした。
「お父さんみたい。」
そういうと驚いた表情を向けるも、すぐにまた空を見上げた。
「年齢的にはそうでもおかしくないな。
だが、親父の娘を名乗るなら妹でしかないぞ?」
お互いに見合った後二人で声をあげて笑った。
マルコにもイゾウにもあんまり話さないようなこんなクサイ話ができる。
きっとそれを美談に変えてくれるほどの器がこの人に備わってるからかもしれないとこの時思った。