第3章 覚醒をはじめた証
「ジエゴ、すまねぇ。ユリに全く話したことねぇんだよい。
もともと外に出さねぇ事にしてた話を知ってたからフリーズしたみたいだよい。」
マルコのフォローに我に返った。
「あはは。ごめんなさい。ここまでお話ししてると思わなくて驚いてしまいました。」
「ガッハッハ。そうか。
ここの島は白髭がここを縄張りにしてから、街が活気に溢れてね。みんな感謝してるんだ。
俺はもともと海賊が好きでね。隊長さんからいろんな話を聞いたり、立ち寄った海賊で気に入ったらその都度蝋人形にしてきたんだ。
何はともあれ、実物を見てみるかい?」
「はい!!是非!!」
3人でジエゴさんの後について行く。
別の部屋に行ったところでジエゴさんが明かりをつけると、まるで生きているかのような蝋人形が所狭しと並んでいた。
「凄い!!生きてるみたい。父さんも父様もロジャー、シャンクス、おでん様、兄さん達も!!あれ?兄上のも!?」
「ヨシタカ君かい?そうか、彼の妹なのか。
まだ海賊になりたての頃シャンクスと一緒に来たんだよ。
若いのに凄く礼儀正しくて、凛としてたなぁ。
ユリさんの話を聞いて思い返せば確かに侍という言葉が似合う男だった。」
満面の笑みでそう言われると、自分が誉められているように嬉しかった。
「どれもなかなかの出来映えで満足しているんだが、一番の自信作は"海賊王"ゴールドロジャーよ!」
そう自負するジエゴさんの笑顔は職人そのもので、誇りを持ってこの仕事をやっているんだと感銘した。
「ロジャー海賊団で実際に会って話もしたんだ。
今となっちゃぁ良い思い出だ。
ロジャーの処刑も実際に見た。実に見事な最期だった!」
「そうでしたか......。」
父様とおでん様が話していたロジャーの話を思い浮かべながら私は思いに更けてしばらく眺めていた。