第3章 覚醒をはじめた証
「へぇー。旗通りだが、使う石がねぇ.......。
姫も大物に好かれまくるんじゃ、俺の護衛も力不足すぎるな。」
イゾウは女の人への贈り物の知識も凄い。
役柄的にそういうことをよく勉強してるのもあるけど、実際もそういう知識を使って女の人くらい口説きそうだ。
「兄上もイゾウみたいににして貰っています.....。ホントご心配ばかりお掛けしてしまって...。」
さっき指摘されたこともあって畏まってしまうと、イゾウは袖で口を隠して笑う。
「生物学的に男は女を心配していたいもんだ。姫はそう言われるのが嫌いでも現実はそうさ。
その女が強いか弱いか関係なくな。」
「そんなものかしら?」
頭を撫でられてペンダントを返してもらうと白衣のポケットにしまい込む。
その手をイゾウに引かれ
「さ、行くぞ。時間が勿体ねぇ。」
慌てて用意していたものを持ってドアを閉め、イゾウの後をついていった。
商店街は職人の街と言うだけあってハンドメイドの店が多く立ち並ぶ。
島をあげてのお祭りの日のようで観光客も多い。
領民はほぼ大半が白髭海賊団をよく思っていて歩けば隊長である二人はよく名前で声をかけられる。
そんな二人の後ろを一緒に歩く私が気になるようで聞かれる。
「おや、イゾウさんとマルコさんじゃないか。その後ろにおる美人さんはどちらさんね?」
今度は高齢のおじいさんが声をかけてきた。
「あぁ、俺たちの妹さ。っても、同じ船には乗らないがね。俺たちの船を出て商人の護衛と船医になるんだ。」
「リドル・ユリと申します。」
「ほぉ、そんなこともあるんかね。親父さんの家族は海賊団の他にもいるとはねぇ。
こんなに美人さんならみんなに可愛がられて大変じゃないかね?」
「ふふっ。お陰さまで兄や父にはいつも良くしていただいてます。」
そうかそうかとニコニコしながら話をふってくるおじいさんは今度はマルコとイゾウにいろいろ話し出して
最後は私にも握手を求めて帰っていった。
「姫はやっぱり目立つな。男も女も殆どが二度見して通りすぎる。
俺たちがいるからか声はかけてこないみたいだがな。
気を付けろよ。
まぁ、姫なら襲われる前に逃げるか蹴散らすかだろうけどな。」
「んー。そうね。否定しない。」