第3章 覚醒をはじめた証
昨日の夜は部下と4人で甲板に出て雀卓をかこってたんだ。
ディルの船から、ユリが疲れた表情でマルコの部屋に入っていくのを見た。
マルコが昼食終わるときにサッチにユリへの伝言を預けていたのを聞いて本を借りに入ったんだろうと思った。
だが、もうかれこれ2時間経つが出てくる気配はなし。
「こりゃぁ、やっちまいやしないかねぇ....。」
「どうしたんだ?隊長。」
「いや、ユリの癖の話さね。」
「ユリさんの?.............あ、あぁ.....。」
大体の兄弟はユリの"マルコの部屋に入ったら寝る"という癖があるのは知っている。
だが、そろそろ体が女になったあの歳とあの端整な容姿。
しかも、マルコの様子からして満更ではなさそうという条件のもと、姫の事が気がかりでならなかった。
解散した後、部下は寝かせておいて一人で張り込み。
マルコがどうでるかを観察しようと思ったのだ。
日付が変わる頃にマルコが帰ってきて、部屋に入る。
灯りが点いていたからか中を覗くように入っていった。
少しでも嫌がる声がしたら入ってやろうと思った矢先
寝入ったユリを抱えて出てきたが、鍵が開けれないことを悟ったか戻っていった。
その後1時間読書をしながら張っていたが音沙汰なし。
翌日は甲板に出ても不振な点は見つからず安堵したんだ。
朝飯に一人で向かうとマルコがちょうど近くにいたので言ってやった。
「昨日は夜何事もなかったようだね。」
「........?あぁ。ねぇよい。」
「姫を泣かせるようなことはしてくれるなよ。」
「死んでも泣かせねぇよい。
あいつの本当の親父に直接あって連れてきたのは俺だ。
己のつまんねぇ欲でレイリーや親父の彼奴へ注ぎ込んだ愛情に泥を塗るようなことはしねぇよい。」
「"つまらねぇ欲"ねぇ。本気同士なら反対はしないさね。そうなるとしたら俺はマルコが一番安心だ。」
「オッサンすぎるよい。」
「ハハ。そうだろうねぇ。」
俺が一ミリも否定も遠慮もなく言ったのが気にくわなかったらしく、マルコから腹に拳骨を食らって悶えた。