第3章 覚醒をはじめた証
いつもの時間に目が覚めると、別の寝息が聞こえて驚く。
恐る恐る目を開けるとマルコが隣に寝ていた。
声を出しそうになるが思いとどまり、状況確認。
まず、昨日どうした?
いつもの癖でマルコの部屋で本読んだ
そのあと気づいたら今?
服は来てるよね?髪もそのまま。
あ、またやっちゃった?
なにこの睡魔に襲われる部屋。(自分が悪い)
別にシャンクスと兄上と一緒に寝たのはつい先日。男の人に免疫がない訳じゃないけど、
体を起こしながら考えてると、布団に引き込まれて視界が反転し押さえつけられた。
「なに焦ってんだよい。服引っ張って引き留めたのはお前だろうがよい。」
獲物を捕まえたときのハンターのような目で見下ろされる。
口はニヤリと笑んでいる。
「へ?」
「なぜそのような......。って、マルコの部屋じゃない。」
「お前の部屋の鍵持ってねぇんだよい。」
「...........すいません。あと顔近いです。」
申し訳無さすぎて敬語になる。
ただでさえ、好きだった人に瓜二つらしいこの顔を見てそういう気持ちがわいてくるのは充分理解できる。
それなのにそうやって寝てしまって葛藤したのかもしれない。
バカな私を守ろうとして寝れなかったかもしれない。
「アァ?一発やるかよい?」
「バカなことを仰らないでください.......。」
顎を持ち上げられて見たことがないようなオトコの顔になったマルコに戸惑う。
「クッ。冗談だよい。ただ、もう本は自分の部屋に持ってから読め。
毎回毎回本借りに来ちゃぁ机に突っ伏して寝てるだろうがよい。
もう充分襲われてもおかしくねぇ歳と容姿だよい。
気ぃつけろい。
昨日夢でも見てたのか泣き出したから良かったものの.........どうなってたかは保証できねぇよい。」
「な、泣いてたの?」
「あぁ。何かあったか?」
「............別になにも。」
泣いていたと言われる夢は全く覚えてはいない。
だけど、まだシャボンディー諸島での出来事で一人の部屋に帰るのが怖いのもある。
それが、昨日の無意識なのだろうかとも思った。