第3章 覚醒をはじめた証
なんだろう。他に誰に聞かなくてもいいってくらい自信になったかも。
いつも一緒にいるわけでもないのに、私の事を見ててくれて、理解してそのままの自分であることを受け入れてくれる。
そんな暖かい人が周りにいっぱいいるからどんな世界に飛び出しても、一人でいても強く生きていられるんだ。
寂しくないんだ。
それを改めて実感したみたいで胸が熱くなった。
「サッチ兄さん、ありがとう!もう他に聞かなくてよくなっちゃった!」
「お!名誉挽回できたか?
俺、良い男だろ?」
...........
「自分で言わなきゃ、いい兄さんだよ。」
すぐ調子乗るんだから。
そういいながらも、さっきまでと違って気分が軽くなった分表情が柔らかくなったのか、
食べてる途中で
「それがいつものユリちゃんだ!」
って言われてまた頭を撫でられた。
何でもお見通しじゃ敵わないな。
サッチ兄さんの作るご飯はいつも美味しいはずなのに今日は一段と美味しく感じた。
食べ終わって片付けを手伝う。
その時にはいつもと違って白髭海賊団の隊長の武勇伝とか男として、人間としてどうだっていう話をいっぱい聞かせてくれた。
サッチ兄さんはもしかしたらマルコと同じくらい人を観察する脳力に長けてるんだと思ったの。
聞いたのがサッチ兄さんで本当に良かったと思った。
「あ、そういや、マルコが仕事が立て込んでて部屋に戻るのかなり遅くなるって言ってたぞ?
本を貸す約束してたんだって?
いつものように勝手に部屋に入って持っていけってよ。」
「そっかぁ。ありがと。長男さんは大変だね。」
「あぁ。真面目で頼り概がある良い兄貴さ!」
そういうサッチ兄さんの横顔はとても楽しそうだった。
片付けが終わると、私もこれから仕事で夕食はボルさん達と摂って、モビーに戻るのは遅くなると伝えてディルバリーの船に向かった。