第3章 覚醒をはじめた証
「お!!俺にそれ聞いちまうか?」
「んー、聞きたくなったときに一緒にいたから聞きたいなと思って。」
サッチ兄さんに悪態つくのは今に始まったことじゃないけど、この人にはそうしたくなっちゃうのは内緒。
「なんかついでっぽい......。」
「こういう話って、真面目にしてくれなさそうだから。」
「俺の日頃の行いが悪いのか?
よし。今日はユリちゃんの信頼回復のために特別にお望み通り今日は話してやるぜ!!」
大袈裟だなぁって思わず吹き出してしまうと、サッチ兄さんも笑いながら私の髪が乱れるくらいクシャクシャにした。
「俺が隊長になったのって、ユリちゃんがまだ研修に行く前だったろ?
俺、毎回お前らが腹壊さないように気に入ってもらえるようにっていろいろ考えて作ってたってワケさ。
そしたらよ、毎回3人とも目をキラッキラさせて喜んで完食してくれたろ?
それで考えたんだ。あいつらも、目が飛び出るほど感動する飯で、今日を元気に乗り越えたら、メンタル的なちょっとした要素で怪我したり病気になったりすることがねぇんじゃないかってね。
実際、身も心も全部食ったもの次第って聞くだろ?
だから、俺が責任とって引き受けようって思ったわけよ。」
きっかけが自分達だったという事が素直に嬉しい。
でも、私はまだディルバリーの極々一部しか知らないし、社員とも会ったことすらない。
私は何を大事にして護衛と医療に携わっていこうか。
「もし、ユリちゃんがディルバリーで幹部になるんなら、社員を大事にすることで客も商品以上に付加価値を感じることができるサービスが出来るんじゃねぇか?
もっとも、ユリちゃんの回りにいる人はみんな幸せだぜ?
なんせ、俺たちの妹なんだからよ!」
「え?私、幹部候補みたいなのになったって.....」
まだ、幹部候補になったって話はしていないのに、サッチ兄さんの言い方が解ってるよみたいなもので戸惑った。
「ディルバリーの船から帰ってきたタイミングでそれを聞いてくるんだ。それしかないだろ?
ユリちゃんはユリちゃんのままユリちゃんらしく隊長になればいいってことさ!
社長さんたちもユリちゃんが良かったからそう言ってきたんだろ?」