第3章 覚醒をはじめた証
そのあと、ボルさんは私の保温機を手配するように伝え、各エリアの責任者の自己紹介を聞いた。
そして会議も滞りなく進んで、気づけば会議開始からもう2時間。お昼過ぎになっていた。
会議が終わったあと昼食にサッチ兄さんと約束していたので、モビーに戻る。
食堂には既に食事をしている兄弟は疎らで、カウンターの奥にサッチ兄さんが待っていてくれた。
「ちょっと遅くなっちゃったかな?
待っててくれたのかしら?ごめんなさい。」
「いいってことだぜ!イゾウもマルコも仕事でさっきいなくなって、俺はある程度片付け終わらしてきたとこだ。
スペシャルランチ用意できてるぜ。」
「ホントに?!わーありがとう!!」
「おぅ!待っとけよ!」っといって厨房に入って暫くすると、
海鮮太巻き、青おさのお吸い物、サラダチキンと青菜のサラダ。高野豆腐と野菜の煮しめ。
バランスも見た目も凄い。しかも好きなのでいっぱい。
「女医さんだからよぉ、栄養バランスと見た目拘ったんだぜ?」
どや顔を決め込んでいるサッチ兄さんに拍手を送った。
「ありがとう!!サッチ兄さん。今食べたいって思ってたのばっかり!」
いただきますと言って箸をつけても、唸りたくなるくらい美味しい。
女好きが全面に出る性格でないなら、もっとモテるのに。
もったいない。
「なんか、俺に失礼なこと考えてたろ?」
と、ジト目で見られても慣れたポーカーフェイスで、サッチ兄さんも食べようって言えば、
同じメニューで私の数倍の量をガツガツと食べ始めた。
暫く食べた後、
「ねぇ、サッチ兄さん。隊長に任命されたときどう思って、何を大事にしてきたの?」
って聞いてみた。
フランクでおちゃらけているけど、やっぱり隊長と言われる器を持った人だ。
船も違えば、海賊と商人という立場も違うけど、私も
半年後は同じ、人の上に立つ人間になるわけだ。
全員に聞くわけじゃないし、最終的にどうあるべきかを決めるのは私だけど、聞いてみたかった。