第1章 幼い士族が抱く使命ー序章ー
レストランを出て、近くの森を散策することになり、俺は全体が見えるよう後ろから付いていくことにした。
こどもは体力バカだって違う言葉で聞いたことがあるが、海賊である俺から見て尋常じゃないくらいこの兄妹には体力がある。
そして足も俺ですら付いていくのがやっとって位足元が悪い山道を猿みてぇにピョンピョン走っていきやがる。
どんな血してんだよぃ。
すでに化け物じゃねぇかよぃ。
あのおでんも凄かったが九里ってところのガキがこんなのばっかりだと想像したら身震いがした。
あとで聞いた話、目隠しして山を走って遊んでたらしい。遊びで見聞色の覇気身に付けてるってどんな子供だよぃ。
俺はコイツらを見ている内にワノ国に政府が手を着けたがらねぇ理由が一気にわかった気がした。
暫くして目の前を走っていたユキが盛大に転んだ。
「うわぁぁぁぁあああん!!」
「おい!大丈夫か!?」
しかも枝が刺さったようで膝は結構な傷。出血も多い方。
「ゆき!!!」
ユリがいち早くユキのもとにきた。
「まるこ!ゆきのみせて!」
何かできるのか全く想像つかなかったがとりあえず退いた。ナースはゼエゼエ言って引き返してきた。
ユリはユキの足をしっかりと握りじーっと見つめた。しばらくするとみるみる目の色がエメラルドのような色になり渦を巻き始めた。
そして、が雪の怪我を負った膝を淡い金色の光がすっぽり包み、みるみる傷が小さくなっていく。
「おい!これはどういうことだよぃ!悪魔の実か?」
ユリは集中しているからかこちらを見ない。
口を開いたのはヨシタカだった。
「いや、ユリは普通に風呂に浸かって遊ぶし海に足突っ込んだって何も変わらない。
だからって血筋を疑ったが俺もやってみたが、目の色もオーラのような光も出せぬでござる。
前にユリが怪我をしたところを興味をもってジーッと見ているとき同じ現象が起きて同じ部屋にいた父上も仰天していたでござる。
完全にユリだけの能力でござる。」
ヨシタカは悪魔の実の能力者が海と水に弱いと前におでんに教えて貰ったことがあるらしい。
色々聞いたがほんとうに彼女だけの特別な能力だということがわかった。
これは一応親父に報告しないといけないやつだねぃ。