第1章 幼い士族が抱く使命ー序章ー
数日後、乗船後初めての島に辿り着いた。
シャボンディー諸島に着くまでに必要なものを揃えたり、皆の分の食料を買い出すという。
我等兄妹の買い出しはマルコと3人のナースがついてくることになった。支払いは親父から預かったものをマルコが持っている。
あ、ちなみに2日目の日に白髭をなんと呼ぶか、
まだ会わぬレイリーの事を何と呼ぶか話の通じるユリと話し合ったが、
白髭は皆にならい親父。しかし妹にはそう呼んで欲しくないと思い父さんと呼ぶようにさせた。
レイリーは一応師匠と呼ぶか、父様と呼ぶことに仮決定だ。
ということで、下船後、服屋や髪結い屋(美容室)に連れていかれた。
我等3人、まるでナースの着せ替え人形のように本人そっちのけでファッションショーまでさせられながら服を選んでいた。
妹たちが喜んでいたのは言うまでもない。
士族の命とも言える髷は、最初は物凄く抵抗があったが、腹を決めてバッサリ切った。
切った後はオカマ店員、妹やナースにイケメンだと目をキラキラさせながら詰め寄ってきて、マルコにはこれで世界共通の良い男になったとか言われる始末。
シャボンディー諸島まであと3週間ほど。それ以上はしばらくこの船に乗ることはないというのに、大量に服やら靴、帽子を買い込み洋服を収納する家具やベッドまで買っていた。
もう、この船のクルーになったんじゃないかと思うような品揃えに若干某は引き気味になっていた。
買い物を終えて荷物を兄さんたちが船に持ち帰り、遅めの昼食をとった。
船以外の初めての異文化の料理が見た目に鮮やかで美味だった。
なんだかんだで某も観光を満喫しており、気づけば船に乗ってから一番笑ったと思う。
食後のブラッドオレンジの生ジュースを飲みながら、ナースと妹たちが楽しそうに話しているのを肩肘ついて眺めていると
「ヨシタカ凄く楽しそうじゃねぇかよい!船でそんな顔見なかったから安心したよい!」
とマルコにセッティングしてもらった髪をガシガシと撫でられた。
「あぁ。そうかもしれぬな。やっぱり"長男"って呼ばれてる分あるな。マルコ。」
「おまえも長男だろ。お互い様じゃねぇかよい。」
「良い兄貴ができてよかったでござる。」
「ヨシタカは素直だねぃ。嬉しいよい。」