第3章 覚醒をはじめた証
こちらサイドで話す議題はなくなったので隣の会議室へ入る。
モニタールームのように画面が並んでいるのは支部が多いからであろう。
時間になると会議は始まった。
一斉に画面が切り替わり各エリア本部の幹部が二人ずつモニターに映し出される。
「ディルバリーカンパニー、本会議を開催する。
まず、最初に、新しいメンバーを紹介する。」
ボルさんが手招きをして隣の椅子に座らせると、ユリは、気を引き締めて挨拶をする。
「この度、護衛と医師として組織に加わりました"リドル・ユリと申します。
新聞をご覧になった方は気づいていると思いますが、昨日の新聞の表紙の女が私です。
私は、白髭を父とし赤髪を兄として育てていただき、そしてリドル・ヨシタカの実の妹でございます。
二つの家族の名に恥じぬよう、ディルバリーカンパニーの船を襲う全ての敵と戦い、守り抜いていくことをお約束いたします。
まだまだ未熟者ではございますが、何卒よろしく申し上げます。」
深々と映像電伝虫に頭を下げるとモニター側の人たちが沸き上がった。
《へぇ!!こりゃ、頼もしいのが来たなぁ!海賊でも革命軍でも海兵でもねぇ、ここの護衛をやるたぁ、あんた見る目あるじゃねぇか!!》
《6億の女だろ?たった3日で襲ってきた強者海賊団を次々と返り討ちにした!》
《なんだ!もっとおっかねぇ顔してると思ったら、美人じゃないかい》
そんな声を制止すると、ボルさんはみんなに説明した。
「あぁ。こんな逸材に巡りあったのもついこの間だ。この子は、半年育て上げて、護衛と医療団の幹部にしようと思っている。
ユリは諸事情により5年もいないとは思うが、その期間ここで一緒に働くだけでも、わが社にとって利益が多いのは間違いないと思っている。
各エリアの窮地にはユリを派遣するように言ってある。
よろしく頼む。」
公表前の働きを知っているからか反対するものはおらず、この瞬間をもってユリは正式にディルバリーカンパニーの社員となった。