第3章 覚醒をはじめた証
イゾウと部屋を出ると、マルコが壁にもたれて待っていた。
「話は済んだかよい。ユリもイゾウも医務室に来い。」
無表情で前を歩き出したマルコの後ろをついていく。
きっと、父さんとの話を聞いたか父さんに治療の事を教えるように話したのだろう。
さっき聞いた、白菊様との関係を聞いて何だかどう接すれば、どう話を切り出して良いかわからない。
イゾウも考えていることは同じなのか時々目があった。
「聞いたんだろい?白菊のことも。俺とのことも。
他の奴等もだが、そんなに畏まらなくていいよい。
十何年も前のことだよい。」
そう言って振り替えって見せた笑顔はいつもの笑顔だった。
でも、私を見ると当時を思い出して少し悲しそうな表情をしているの、本当はもう知ってるよ?
そんなことは言えないから、ただ笑って返事をした。
医務室奥の倉庫に辿り着くと
「何年も開けていないから埃には注意しろよい」
といって戸を開いた。
案の定埃が3人を襲う。
「ゲホゲホッ!!これ、本当に数年ものの埃かい。」
「すまねぇよい。ゲホッ!普段要らなくなった機械類はすぐに処分するんだが、ゲホッ!これだけは....処分できなくてよ。」
出てきたのは透明な棺のようなもの。
尚更死と隣り合わせってことを突きつけられるようであんまりいい気はしない。
しかもかなり大きい。
私が二人入れそう。
「ユリ。今棺桶かと思ったろい?
でも、原理は生まれた赤ん坊が入る保育器と同じだよい。」
呆れて私を見てそういうマルコ。
さすが長男様。何もかもお見通し?
でも、保育器って聞くとなんか今度は恥ずかしい。
他人事と思って.......!
「姫。望んで持った能力じゃないことは解ってる。しっかり向き合ってその能力と付き合っていかなきゃなんねぇだろ。
みんな姫には生きててほしいと思うんだ。
「マルコ、これがないところで姫が倒れてたらどうしたらいい?」
「全身温めないといけないから、薪に火を起こして温めるか、誰かが一晩中.........ユリを抱いてるしか、今のところ何もないよい。
白菊は戦闘の後必ずここに戻ってきてこれに入ってたよい。」