第3章 覚醒をはじめた証
「サッチ兄さん!スープ8種、味噌汁3種完了!」
「お!ありがとよ!魚と付け合わせはどうだ?」
「焼き魚があと2分くらいで、付け合わせは野菜の甘酢漬け、塩麹漬け、その他和え物4種作ったわ!」
「飲み物の方はどうだ?」
「コーヒー5種の温冷、紅茶4種の温冷、薬茶10種の温冷、ソフトドリンク8種準備オッケー!」
「炭水化物系はどうだ?」
「パンもご飯も麺類も準備完了!」
「よし!流石だユリちゃん!相変わらず手際がいいな!」
1600人以上の家族を賄う食事。
出身も違えば好みも違う。
そのため基本ビュッフェスタイルの食べ放題。
体が資本の海賊だからこそ出来る限りの高蛋白、低カロリー。
そして朝から大食漢が多い。
出来るだけ最小限のメニューでと考えても主菜副菜主食、その他各10種はいる。
あらぬスピードでそ量をどんどん仕上げていってしまうユリに周囲は度肝を抜かされる。
そして検食担当の隊員3人が味見をするが、どれも美味で食べた瞬間に顔が綻ぶ。
そして、きちんと考えられた栄養バランスのおかげで体に力が湧くようだ。
「ユリちゃんにいいとこ見せようと思ったのに、やっぱすげーや!」
「あれに敵う料理人ってもう隊長しかいないっしょ...。」
「どこで鍛えたんだかな?」
テキパキ作業するサッチとユリの様子を見ながら隊員たちがコソコソと話す。
もう時刻は7時に達しようとしている。
食堂にはチラホラ兄弟たちが集まり列を成していた。
「そろそろ食堂開けるぞ!準備はいいか?」
「ウッス!!」
大きな引き戸を引くと雪崩れ込むようにみんなが入ってくる。
男ばかりの大所帯朝食は大迫力。
そして騒がしい。
ユリは久しぶりのその光景に圧倒されたのだった。