第4章 気持ち
「あの・・・、博士って?」
この嫌な空気を変えたくて。
でも単純に気になったことでもあって。
「有名な高校生探偵、工藤新一くん宅の隣に住んでいる、その道では有名な発明家だそうですよ。名前は確か・・・阿笠博士でしたっけ」
質問を投げかけたのはコナンくんのハズなのに、なぜか答えたのは安室さんだった。
発明家・・・この辺りにそんな人がいたなんて。
「作ってるのはガラクタばかりだけどね」
「そんなことありませんよ」
コナンくんの言葉にすかさず安室さんが否定する。
「特に君たちの探偵団バッジはとんでもない代物だと思うよ」
カウンター越しに安室さんがコナンくんの胸元を指さす。胸ポケットに入れているのだろうか。
存在を確認するようにコナンくんは指をさされた胸元に手を当てた。・・・顔が強ばっている。
「探偵団・・・バッジ?」
「ええ。小型トランシーバーを内蔵していて、無線通信機にも関わらず、半径20km以内まで通信が可能なバッジらしいですよ」
なにそれ。
そんなすごいものを作れる人が・・・この街に?
「ちょ、ちょっとだけそれ・・・見せてもらっても・・・!」
コナンくんの元へ駆け寄り、思わず手を握った。彼は驚いた様子で目をまん丸にして私を見つめた。
「い、いいけど・・・」
異様な私の食い付きに引いてしまったのか、ゆっくりと胸ポケットから小さなバッジを取り出した。
それを渡されると、私はまじまじと観察を始めた。
「・・・すごい、こんなに小さいのに」
信じられない。これであの距離の通信ができるのであれば、色んなところが喜んで食いつくだろうに。
バラして中を見たい衝動に駆られたが、そういう訳にはいかず。
「今度、これを作った博士という人に会わせてもらうこと・・・できない?」
安室さんもコナンくんも驚いた様子だった。
確かにこんなものにここまで食いつく女性はそういないよな、と思いながらも、どうしてもその博士という人の話を聞いてみたかった。
「別に構わないけど・・・如月さんってこういうの好きなの?」
「きょ、興味がある程度で・・・」
さすがに作るのが趣味です、なんて言えなくて。ましてや安室さんの前で。