第11章 練習
「今日は、自由曲の道を最初から練習したいと思います。」
私は必至に仕切る。
ほんとはみんなをまとめるなんて私には向いてないんだけど…。
私は自分のピアノが合唱にも通用するものかどうか確かめたい思いで頑張ると決意した。
「みんな、声をもっと出して。」
「背筋を伸ばして」
「動いちゃダメ」
私はいっぱい注意した。
でも。
その一つ一つは失敗だったみたいだ。
みんな、私を「性格の悪い人」と思ってしまった。
もう嫌だ。
抜け出したい。
次の日から私はなにがあっても黙ってた。
「おい、お前 ちょっとこい」
後ろから声を掛けられた。
振り向くとそこには担任がいた。
「え。あっ、はい。」
私はついていった。
「お前はどんな合唱がしたい?」
「それは…。みんなで笑顔で楽しめて…。その…。」
「わかった。」
先生は言った。
「じゃあ、お前も楽しんで弾けばいい。」
「…。はい!!」
私は分かった気がした。
合唱コンクール前、最後の練習。
私はすごく楽しかった。
みんなの歌の軸になれることが凄く嬉しく思った。
「皆、明日は後悔しないように楽しんで歌いましょう。」
「はい。」
クラスの皆にどんな風に話をすればいいかも分かった。