第13章 錆びつく夜に
「まあ……お似合いなんじゃねえの」
「え……」
先生から発された言葉に、私の心はいとも簡単に崩れ去った。
ほら、やっぱり先生は私のことなんてなんとも思ってない。実際に言葉にされるとキツいなあ、なんて心の中で自嘲する。お似合いとか、さ。それってつまり、私みたいな子供は眼中にないんでしょ。
苦い気持ちを抱えながら、奥から出てきた店員に会計を頼んでその輪から抜けた。真っ白な頭をどうにか働かせて。
「ほらほら消太ァ、俺達も綺麗なオネエチャンたちとランデヴーしに行こうぜ!」
「行かねえっつってんだろ」
「え、先生達これからどこ行くんすか」
「ちょーーーーーっとオネエチャンたちとイイコトしに行こうかなって、な」
「俺は行かねえって言ってんだろ」
背後で繰り広げられる会話はとてもじゃないが生徒には聞かせられないような内容で。というか一応私という女がいる場でもやめて欲しいのだけれど。聞いていて気持ちのいい話題ではないし、行かないと言い続けている先生も、今日はそういう気分ではないだけで多少はそういう類のところに行ったりするのかな、なんて思えば心が痛くて仕方がなかった。
「えー、俺も行きたい!」
「いやいやお前には水分がいんだろ!?」
「振られたばっかっす!」
「振った覚え無いんだけど」
「俺が勝手に振られたの!」
「どうでもいいけどお前ら迷惑だからとりあえず店出ろ」
入れ替わりで会計を終えたらしい相澤先生がマイク先生と上鳴の首根っこを掴んで店を出る。私も続いて店をあとにした。