第11章 嘘つきアーモンド
あんな夢を見た後で本人と顔を合わせるのは非常に気まずい。言ってしまえば水分と飯に行った後からは週の大半似たような夢を見ているのだが。
前を行く揺れる髪に触れたくなる気持ちをぐっと抑えておはよう、と声を掛ければ振り向く水分の頬に紅が差す。期待、しちまうだろ。
洗面所に置いたままだったネックレスを手渡せば、受け取ったそれを首につけて。
内側に入った髪を出すその時に見えた、鬱血痕。
「水分、昨日は……、その、」
まさか、嘘だろ、だが確かに昨日俺の家にいたらしい水分の項に生々しく残る痕。つまりそれは、俺がつけたのかもしれない、それはつまり、俺が水分を抱いたのかもしれないということで。
焦る俺に柔らかく笑った水分が口を開いて。
「もー、先生また覚えてないんですか?」
「っ……」
「図星ですね?」
悪戯にニヒヒと笑う水分に微妙な違和感を覚えつつもその先を聞いて安堵する。
しかし、一度ならず二度までも覚えていない上に迷惑をかけるとは。しばらくこいつと出る時は酒は控えるべきか。
……それよりも、それをつけたのが俺でないとするならば、つけたのはやはり。