第10章 欺瞞にまみれた自己愛を
「心当たりがある顔ね?」
ニヤニヤと緩んだ顔で私を見るミッドナイト先生とその横で「キ、キスマ、キスマーク……っ」なんてあたふたする13号先生。
「そんな付けられた本人も見えないようなところに付けるなんて、彼氏嫉妬深いのかしら」
嫉妬深いもなにもまず彼氏じゃない、など言えるはずもなく。赤く染まる顔を俯けるだけで先に続ける言葉が見つからない。
「あー、もうっ可愛い!そりゃこんな可愛い反応されたら虐めたくなっちゃうし誰にも取られたくない気持ちもわかるわ!」
薄らと頬を染めたミッドナイト先生が頬に手を滑らせてくる。
色気に当てられて金魚のように口をパクパクさせる私を面白そうに見つめる瞳が嗜虐心で揺れているのがわかって生唾を飲み込んだ。
「相手はどんな人?ヒーローかしら?こんな青臭いことするなんて、同級生とか……まさか年下?」
「も、勘弁してくださいよ…ぉ………」
年下でもなけりゃ同級生でもない寧ろ結構年上です。あなたもよくご存知のイレイザーヘッドですよ、なんて言えるわけない言葉を飲み込んで。
「でも普段見えないところに付けるって独占欲丸出しの青二才には出来ないわね……」
「……んっ」
そう言って項をなぞる指に思わず声が漏れる。
「Hey!!なに昼間っから妖しげな雰囲気醸し出してんだァ?」
授業を終えたらしく職員室へ戻ってきたマイク先生が私たちの様子を見るなりそんなことを言ってこちらへ向かってくる。
「っておい!水分お前それまさかkissmark……」
「そうなのよマイク!見てこの羞恥に塗れた顔……そそるわぁ」