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【ヒロアカ】許してね、ヒヤシンス【R18】

第1章 初恋は実らない



“すまん、もう少しかかりそうだ。
20時、駅前な。”

 ちょうど帰宅したその時、ポケットの中でスマホが震えた。わかりました、と返信してトーク画面を見てにやける私は相当気持ち悪いと思う。

 けれど仕方ないことだよね、なんて。だって、相澤先生が連絡先に登録されている、それだけでも頬がにやつくのに、先生から届いたメッセージ──ただの業務連絡のようなものだが─それだけでも心が躍ってしまうものなのだ。


□□□


「悪い、待たせたか」

「いえ、つい先程着いたところです」

「そうか、急で悪いな。どこか希望はあるか?」

 そう問われ「どこでも構いません」と口から出してからふと疑問に思う。もしこれが歓迎会だとしたら私に希望の場所なぞ聞くだろうか?

 いや、私がどこでもいいと言うことを見越しているだけか。うん。そうだな。さすがに新人の私がそんな生意気言えるわけがないんだし。

「水分、もう酒は飲めるのか?」

「え、いくつだと思ってるんですか?もう成人してますよ……ちなみにお酒は大好きです」

 そう答えれば少しだけ瞠目した様子の先生が「そうか、そりゃそうだよな」なんて呟いて、「……はい」と答えるしかなかった。

 卒業してもう5年だ。先生に告げようとして5年。この5年、いや、学生時代も含めば8年。先生への思いは無くなるどころか膨らむ一方だった。

そんなこと、言えるはずもないけれど。

無言のまま、二人で歩いた先は少し洒落たバー。
小汚い──などと想い人に思うのは失礼だが─相澤先生がこんなところに来るとは思わない上に、いよいよ歓迎会とも思えなくなってきたところである。

「……よくマイクと来るんだ」

 顔に出ていたのか、先生が口を開いた。

「少し、話をしておきたいと思ってな。ちなみに歓迎会はマイクが来週するって言ってたぞ」

 先生と、ふ、ふたりきり……!薄々わかってはいたけど、まじか。無理だ。無理無理。帰りたい。
 
 
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