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【ヒロアカ】許してね、ヒヤシンス【R18】

第7章 そこに或るメランコリー



 今度が来なければいいなぁ、詳しくなんて言ったって何を話せばいいのか。なんだかんだいいやつだということも、軽いけれど口は軽くないのもわかっている。正直に話しても問題は無いと思うけれど何よりも恥ずかしい。心の内を打ち明けることも、望んだことではあるにしろ、まさか元担任と関係を持っているなど。

 それよりもヒントは何も与えていないはずなのに相澤先生に辿り着いたその考えは何故なのか。私は決して誰にもこの恋慕を打ち明けたことは無いし、在学中にそういうことを醸し出した覚えもない。寧ろ、表に出さずに一生徒であろうと注意を払っていたくらいだ。少しばかり鋭いところがあるとは思っていたけれど、まさか私の気持ちに多少なりとも気付いていたのだろうか。まさか私は上手く立ち回っていたつもりだけれど他の元クラスメイトにも気付かれていたのだろうか、と気が気ではない。

 上鳴に男とはなんぞと聞いたところでなんで先生が私を抱いたかなんて、本人に聞かない限りわからない。尤も、聞く気もないしそんなこと聞く勇気も持ち合わせていない。なにより聞いたところで答えてくれるとも思えないし。

 ただ漠然と思うのは、私の気持ちをわかっていて利用したのかもしれないということ。欲を発散したい先生とそれでもいいから抱かれたい私。win-win、先生風に言えば合理的。

 酔った時こそ人の本質が見える。つまりはそういうことだ。先生にとって私はその程度の存在に過ぎないということ。上鳴のおかげで見えた真実に気付いて、吹っ切るまではいかなくとも諦めはついた。

 それならば理性も私の気持ちも全てかなぐり捨てて酒を飲んだその時だけただの男と女に成り下がる、そんな関係に堕ちてしまってもいいかもしれない。その時だけでも私を求め、欲しいと思ってくれるのならば。伝えさせてくれなくとも、想いを受け止めてくれなくとも、今は。先生が覚えていなくたってその瞬間だけは先生のものになれたような、私のものにできたような気がするから。

 私の気持ちが消える時か耐えられなくなる時か。はたまた先生が気付いた時か。終わりはその時にしよう。とはいっても、もう先生と関係を持つことは無いかもしれないけれど。

 先生が覚えていない以上セフレとも呼べない、歪な関係だとしても、もしなれるのなら。これから先にそんなチャンスがあるのなら。それでいいことにしよう。
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