第31章 夢はいつも唐突に消える
「せん、せっ、朝から…ちょっ、ん、、ふ…あ、っ」
流されては駄目だ、そう思って制止の声を投げかけるも黙れと言わんばかりに唇に噛み付かれて。その先に続くはずだった言葉も、結局聞けもしない疑問も全て飲み込まれてしまう。蠢く舌に翻弄されて、そのざらついた感触に蜜壺からとろりと蜜が流れるのがわかった。
「っは、…癒依、癒依、好きだ…っ好き、だよ」
どうにかしてこの場を切り抜けようと考えていたのに。離れた唇の隙間から呼ばれる名前と交わるこの時にだけ伝えられるこの2文字に絆されて。あとはもう先生の思い通りに抱かれるのだ。その優しさの仮面の下でなにを考えているのかわからないけれど、この偽りの関係でどうしようもない性欲の捌け口だとしても。それでも私はその言葉に縋ってしまうのだ。投げかけられるたびに傷ついて、浮かれて、結局そこに愛情など存在しないと傷ついて。
わかっていてもその時だけは愛されている気がするから、それに縋りたくなる。こんなこと、建設的じゃ無い。こんなこと、褒められたものじゃ無い。こんなこと、いつまでも続けるわけには。
いつかくる終わりから目を逸らしながら、与えられる快楽に身を委ねる。その手つきが優しいから。私の体の全てを知り尽くすその動きにあられもなく、はしたない声を上げ続けるほかないのだ。