第29章 半透明に満ちて空っぽ(裏)
そう思って視線を送れば悪戯に笑って、汗ばんだ腕が私の頭上へと伸びて避妊具を手にする。見せつけるように包装を破った先生が不敵に笑った。
「……欲しい?」
勃ち上がった陰茎に薄い膜を被せながら私に問うその姿があまりにも煽情的で。こくりとひとつ頷いて口を開く。
「消太さんが、欲しい」
出来ることなら、その全てが欲しい。体だけじゃなくて、心も、全部。叶いもしない夢のような想いは決して口にはしないで。どうせ手に入らないのなら、瞞しでもいっそ。
「俺も、癒依が欲しい」
散々弄られてぐっしょりと濡れた割れ目に陰茎の先を擦りつけながらそんなことを言われて。胸を締め付ける痛みとこれから訪れる快楽の狭間で私の心はただ泣いていた。
先生は、どんな気持ちでそんな台詞を吐くのだろう。女を悦ばせる台詞だと分かって吐いているのか。