第29章 半透明に満ちて空っぽ(裏)
「ん、っあああ……や、だ、っぁあ!」
ぐちぐちと音を立てて蜜壷を攻め立てる指の動きは些か乱暴なのに、もう一方の手は優しく身体中を這うように撫でる。その対象的な動きに翻弄されて襲い来る快楽も声も抑えようが無い。
「水分、今すごいえろい顔してる」
「っや、、見ないで、くださ……」
隠そうと動かした腕はそうするより先に容易く絡め取られて。私を見下ろす先生の口角が僅かに上がる。
「だーめ……感じてる顔、もっと見たい」
低く甘く、蕩けるような声で放たれた言葉にナカが収縮して蹂躙するその指を締め付けてしまう。どうしてこんなにも、この人が愛しい。
「消太、さん、」
思わず口から滑り落ちた名前が胸を締め付ける。恋人にしか許されないような、そんな呼び方。恋人だけれど、恋人じゃない。けれどそれを諌めようともせずに微笑んで受け入れる目の前のこの人はなにを考えているのだろう。
「ん、どうした?」
優しい瞳が私を見下ろして。言わなくても、分かってるくせに。