第25章 静謐に終わりは近付く
あの時、口にしてしまった好きだという言葉は水分に届いていたのだろうか。酔ったフリをしていた以上、俺が覚えているはずがないのだから水分に尋ねることなど出来ないのだけれど。どうせ口走るなら互いに素面の時だろ。そんなことが出来るはずもないのに、そんなことを考えて。
耳に入っていないか、酔っ払いの戯言だと片付けられたか。どちらにせよ、あんな状態であんな状況で言うべきではなかったと後悔しても、もうどうしようもないのに。
部屋に戻った水分は上鳴に弁解しているのだろうか。面倒なことになったと、それを早く収めるための嘘なのだと。メディアを利用して周りに牽制したつもりになったところで、結局それに全く意味は無いのに。