第2章 主夫②
俺とミカサがにらみ合ったまま対峙していると、突然応接室の扉が開いてが入ってきた。
「リヴァイさんっ、わざわざありがとうございます!お待たせしてすみません」
途端に、先ほどまでの殺伐とした空気が一瞬にして吹き飛んだ。
エレンとミカサはポカンと口を開けて驚いている。
「さん、まさか本当にこの人がご主人なんですか…!?」
「ん?そうだよ。えへへ、カッコいいでしょ。リヴァイさんっていうんだよ」
「…カッコいい…?」
エレンとミカサの視線からは、「どう見てもヤクザ」と思っているのがありありと伝わってきたが、俺はそれを黙殺した。まぁ、引退したとはいえ元はそうだ。あながち間違っちゃいねぇからな。
「そうだ!もうお昼休みだし、このままみんなで一緒に食べようよ」
がニコニコと笑いながら言うと、エレンとミカサも毒気を抜かれたように表情を緩めて頷いた。
どうもの笑顔には、自然と人をいいなりにさせちまう力があるみてぇだ。それは俺に対しても同じことだが。
「リヴァイさんも、一緒に食べましょ」
満面の笑みを浮かべながら言われて、俺は頷く以外にすることが思い浮かばなかった。