第2章 主夫②
「お前…少し黙れ」
「カハッ!」
ヒュッと喉元に手刀を食らわせてやれば、そいつはやっと黙った。厳密には、咳き込んで声が出せなくなったのだが。
「…おい、てめぇ、の会社のモンか?」
「…げほっ、は、はい…そうです」
「なら話は聞いてるな。さっさと案内してもらおうか」
「は、はい…」
涙目になりながら神妙に頷いたが、そいつの瞳の奥にはギラギラと凶暴な光が隠れているのを俺は見逃さなかった。…ほう、悪くねぇ面構えだ。
そいつに連れられて建物に入ると中は外観以上に綺麗で、置いてあるイスやらテーブルやらがいちいち洒落ていた。
事務机が並ぶフロアを横切って、開放的な大きな窓のある部屋へと案内される。
フロアにはの同僚と思われる人間達がたくさんいて、皆でこちらを見てヒソヒソと何かを話していた。大方、俺の見てくれの話だろう。
チッ…面倒くせぇ。やはり入口で待っていた方が良かったか?だが、の折角の心遣いを無駄にする訳にはいかねぇ。