第2章 主夫②
「今日、朝イチで外回りが入ってたの忘れてました!ごめんなさい、朝ごはん食べてるヒマないかもっ」
洗面所に消えていったは、ものの数分で化粧と歯磨きを終えて出てきた。そして仕事用のカバンを肩に引っ掛けると、慌ただしく玄関へと走っていく。どうやら状況は思った以上に切迫しているらしい。
「オイ…」
俺も慌てて後を追いかける。
玄関の扉に手をかけているに、俺は急いで作った猫おにぎりを差し出した。が洗面所にいた数分で作ったものだ。
「途中でこれ食え。朝飯を抜いたら、一日乗り切れねぇからな」
「わあぁ、可愛いっ!ありがとうございますリヴァイさんっ」
おにぎりを受け取ったは、満面の笑みを浮かべるとチュッと俺の頬にキスをした。
「…おう」
不意打ちでされると照れるじゃねぇか。
俺は若干ボーッとなりながら、の唇が触れたところを手で撫でた。だが、そんなにぼんやりしている時間も無いようだ。
「行ってきまーす!!」
おにぎりを片手に、は勢いよく玄関を飛び出していく。その後を追うようにして俺も玄関から出る。
「おい、慌てて道路に飛び出すんじゃねぇぞ!車に気をつけろよ!ひかれるんじゃねぇぞ!」
走ってゆくの背中に、そう声をかけたのだった。