第2章 主夫②
平屋である我が家は、リビングを中心に基本的にはどの部屋とも繋がっている。だから、朝にキッチンで料理をする時はを起こしちまわねぇように細心の注意を払っている。
炊き上がったばかりの飯を炊飯器から椀に移して、綺麗な丸型になるようにクルクルと回す。それができたら、飯を少しだけ手に取って小さめの尖った部分を作る。
桜でんぶや海苔で顔を作れば、が好きそうな猫型おにぎりの完成だ。
それを弁当箱の中心に据えて、周辺をの好物の甘い厚焼き玉子やウィンナー、昨日の夕飯の残りなどで埋めてやれば完成だ。
緑、赤、黄色の彩り良し。栄養バランス良し。題名は…そうだな、「野原で遊ぶ猫」とでもするか。
弁当が出来上がった瞬間の、この何とも言えない達成感が俺は好きだ。もともと物づくりが好きなタチらしく、随分と技術も上がったように思う。
さて次は朝飯の準備に取り掛かるか、などと思って、ハムエッグを作るためにフライパンに手を伸ばした時、ガラッと寝室の扉が勢いよく開いた。
「おはようございます、リヴァイさん!」
「…おい、どうした。まだ6時半だぞ。どこか具合でも悪ぃのか?」
バタバタと早足で寝室から出てきたはすでに仕事用のスーツに着替えていて、寝起きのぼんやりした顔もしていなかった。