第1章 主夫①
ここまでで、午後3時頃だ。大体こんな感じで俺の一日は過ぎていく。
家事が終わってしまえば、後は自由だ。そんな自由時間を何に費やしているのかというと、
「あ、リヴァイさん、こんにちはー!今日もいいマッチョですね!」
「あぁ、邪魔するぞコニー。だがその、いいマッチョってのはやめろ。意味が分からねぇ」
俺は毎日、家事を終えると近所のスポーツジムに通っているのだ。
コニーは、このジムに勤めているスタッフで、いがぐり頭の小柄な青年である。
中学生と言っても通るような容姿をしていて、とにかく底抜けに明るい。悪く言うと、バカだ。だが嫌いではねぇ。
「こんにちハッスル!リヴァイさん。いいマッチョは、最大限の褒め言葉なんですよ!名誉なことですよ!」
そう言って食い気味に声をかけてきたのは、こちらもこのジムのスタッフであるサシャだ。コニーとは仲が良いらしく、よく一緒のシフトで働いている。
サシャは黙っていればスタイルも良いし美人なのだが、口を開けば言うことはコニーと同レベル。バカが匂い立つとはこのことを言うのだろう。
こいつもコニー同様よく俺に絡んでくるので、嫌いじゃねぇ。
「ちっとも名誉に感じねぇのは、俺が変なのか?」
「「そうです!」」
曇りのない4つの瞳でキラキラと見つめられると、自分は薄汚れたオッサンになってしまったんだな、などと思ったりする。こういう無邪気な若い奴らは、時々眩しすぎて直視出来ねぇ。